• Our Goal

    本会は、生活者が安心して、かつ安全に適切な睡眠サービスを享受できる社会の実現を目的としています。

    「人生100年時代」と言われる中で、国が主導する健康寿命延伸のための取り組みの拡大、企業の従業員に対する健康経営のサポート、国民の健康に対する意識の向上等により、健康維持・増進をサポートする様々なヘルスケアサービスが求められています。
    その中でも、睡眠は、人々の活力ある健康的な生活、健康寿命の延伸を達成する上で欠かすことのできない根源的な営みであり、健康維持・増進において、睡眠サービスは、他のヘルスケアサービスと同様に大きな影響を及ぼす可能性があり、人々の関心が非常に高いサービスの一つです。
    その一方で、睡眠サービスは、様々あるヘルスケアサービスと比較して、品質の見える化が遅れている分野の一つでもあり、利用者の目的に合わせて適切な選択肢が提示され、利用者が安心してサービスを選べる市場基盤の整備が喫緊の課題となっています。

    具体的には睡眠サービスの特徴として下記が挙げられます。

    サービスのすそ野が広い
     

    睡眠は、全ての人間に必須の生活習慣であり、食事・運動と並ぶ健康の基礎的分野であることから、関連サービスのすそ野が広いという特徴を持っています。

    関心・需要の高まり


    日本は、5人に1人が睡眠に課題感を抱え(※1)、2018年のOECD調査では世界で最も睡眠時間が不足している睡眠不足大国(※2)です。また、昨今の産業現場においては、「プレゼンティズムの主要因子の2つ目が睡眠」という研究結果が論文化される(※3)など、健康経営や働き方改革のテーマとしても睡眠が注目を集めており、ドライバーの睡眠点呼必須化の動き(※4)などがあります。また、一般生活者の間でも「SleepTech」という言葉が浸透しつつあるなど、睡眠サービスに対する需要が急速に高まってきています。

    科学的にも産業的にも発展途上


    医療分野・産業分野等で、睡眠に関する様々な論文等が出てきてはいますが、他の健康分野に比して、研究件数が少なく未解明のことも多いのが現状です。また、睡眠市場に対する期待感の上昇に併せて、既存企業および規参入企業ともにサービス開発に力を入れてきていますが、多くの企業が無秩序に睡眠サービス市場に参入することで、根拠や依拠する技術・ノウハウが明示もしくは開示されず、消費者が安心してサービスを選択、または安全に消費できない懸念があります。

    テクノロジーを活用する先端的分野


    睡眠に対する適切な介入を行うサービス実現のために、適切な睡眠計測機器、高度なデータ分析手法、利便性の高いアプリケーション等のテクノロジーの活用が必要となる場合もあり、信頼性の高いテクノロジーの活用方法を確立することも求められています。一方で、生活者の睡眠の質の改善に資するサービス、デバイス、アプリケーション、機能性表示食品等の検証は、適切な試験デザイン、試験環境、評価尺度などを用いて一定の基準に則して行われるべきですが、現状ではその基準も十分に整備されていません。



    上述の背景・課題を受け、広く「睡眠サービス」を対象として、生活者が安心・安全に適切なサービスを享受できる社会の実現のため、以下の理念を掲げ、一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会を設立します。

    • 睡眠サービスを利用する個人・企業が、信頼できる基準をもとに、目的に応じて適切にサービスを選択・利用できる環境づくりを追求する。
       
    • 睡眠サービスを提供する事業者が、サービスの品質を自律的に高める意識を持ち、一定の基準のもとに自社のサービス等を評価し、それを公開する土壌を形成することで、睡眠サービスに対して生活者の信頼を獲得できる仕組み作りを行う。
       
    • これらの活動を通じ、事業の持続可能な環境を創造し、ヘルスケア産業領域における新たな市場・産業モデルを確立する。

    • ※1:Liu X et al. Psychiatry Research (2000)
      ※2:OECD調査(2018)
      ※3:産業医科大学 Nagata T, et al., J Occup Environ Med. (2018)
      ※4:国土交通省「旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正」(2018)
  • 設立参画者からのコメント

    西川 ユカコ 氏(昭和西川株式会社) 

    昨今、睡眠への関心の高まりとともに「睡眠」は1兆円を超える市場に育ってきております。睡眠が注目されるのは喜ばしいことですが、一方で、成熟した市場へ向かう過渡期ゆえ、「正しい睡眠知識の普及」および「それは本当に睡眠を改善するのか、健康に良いのか」など、お客様が良い商品、サービスを見極めるための判断基準を作ることが急務です。そこでこの度各業界の方々と、連携をとりガイドラインを作らせて頂く運びとなりました。ぜひご活用頂き、皆様の快眠および健康づくりの一助になれたら幸いです。

    小坂 佳世子 氏(損害保険ジャパン日本興亜株式会社) 

    当社は安心・安全・健康の領域で、社会的課題の解決につながる事業にチャレンジしております。睡眠は、健康増進、企業の生産性、 自動車運転事故など、人々の活動に様々な面で影響を与えており、今後睡眠サービスの重要性がより一層高まると考えております。本コンソーシアムを通して、企業や個人の方が安心・安全に適切な睡眠サービスを享受できるよう貢献してまいります。

    小林 孝徳 氏(株式会社ニューロスペース)  

    日本だけでも3000万人以上が睡眠に悩みや不安を抱えていると言われる今日、これまで様々な睡眠サービスが生活者に提供されてきました。睡眠に悩む人々の話を聞いていると、自分の睡眠は今の状態で大丈夫なのか知りたい、最適な睡眠時間は何時間なのか?どの睡眠サービスを使えば本当に良くなるのか?枕・布団を変えるべきか?など多くの質問をもらいます。睡眠ビジネスが寝具やテクノロジーなど多種多様に発展する一方で、生活者が十分なリテラシーを基に適切なサービス選択がしづらい状態にあります。本コンソーシアムでは、適切な情報発信やサービスの選択基準の策定を行いユーザーとの対話を行うことで、そのギャップを補い、ユーザーが正しい認識および安心と信頼を基に適切に各睡眠サービスを選択し、期待する効果を実感できる世界を創出して参ります。無意識状態の睡眠という人間の活動に、多くの人々に価値を見出して頂き、一人ひとりの健康と幸せそして社会全体の発展に貢献していくことを期待しております。

    浅野 健一郎 氏(一般社団法人社会的健康戦略研究所)  

    近年、睡眠に対する課題認識や改善ニーズは、個人に留まらず、多くの企業が取り組む健康経営の重要施策の一つになりつつあり、今後、多くの睡眠サービスが創出されることが期待されています。一方、日本では、生活者の睡眠に対するリテラシーは未だ発展途上です。そのような状況の中、企業を含むユーザーが正しい知識と認識を持ち、その正しい認識のもとサービスを使用できるように睡眠サービス事業者が適切な情報提供やコミュニケーションを行うことが求められています。本コンソーシアムは、睡眠サービス事業者の業界団体でありつつ、そのメンバーにアカデミアやユーザー(消費者)が参画していることが、これまでにない大きな特徴であり、業界団体のこれからのあり方を進取の精神でチャレンジする団体でもあります。本コンソーシアムでの取り組みが、睡眠サービス市場の活性化によるユーザーの課題解決のみならず、他の業界へ大きな示唆を与えるリーダー的業界団体に成長していくことを期待しています。

    三島 和夫 氏(秋田大学大学院医学系研究科)

    日本人の20%以上が不眠、睡眠不足、シフトワークによる眠気や睡眠の質の低下など様々な睡眠問題に悩んでいると試算されています。睡眠問題は生活習慣病リスクやメンタルヘルス問題、プレゼンティーイズムによる生産性の低下など生活機能に密接に関わる看過できない公衆衛生上の課題となっており、その影響は疾病の一次予防、働き方改革や健康経営、医療など幅広い領域に波及しています。そのため人々の関心も高く、寝具や照明、温湿度管理など睡眠環境の調整に関わるデバイス類、サプリメントなどの機能性食品類、睡眠のホームモニタリング技術とそれを活用した睡眠スキルのコーチングシステムなど、快眠効果を謳った商品が数多く発売され、人気を博しています。睡眠サービスコンソーシアムの設立によって、今後も、科学的エビデンスに裏打ちされ、効果が実証された、利用者が安全・安心に利用できる有用性の高い商品の開発が加速されることを期待します。そのことによって睡眠サービスの領域がさらに活性化し、日本人の活力ある健康生活に資することを願います。

  • 事業内容

    1. 睡眠及び睡眠サービスに関わる調査研究及び情報発信・提供

    2. 睡眠及び睡眠サービスに関わるガイドライン等の作成及び情報発信・提供

    3. 睡眠及び睡眠サービスの品質向上並びに性能評価についての調査、研究、開発及び支援

    4. 睡眠及び睡眠サービスの品質表示の推進及びマークラベル等の発行

    5. 情報発信・提供のための、Webサイト等の電子媒体、交流の場及びセミナー等の開設及び運営、並びに会誌その他の出版物の編集及び刊行

    6. 関連諸団体、関係省庁又は地方公共団体等との情報交換及び連携・協力のための活動

    7. その他本会の目的を達成するために必要な活動